「………ごめん…うえき……」
「な、なんで森が謝るんだよ?……悪いのは俺だろ?急に森に変なこと聞いたりして……
……それに…謝られると逆に…ツライし……」
「………ごめん……」
俯きながら…少し涙を浮かべながら、森は謝り続ける
「………私は…植木とはずっと友達でいたいって思ってるから……だから…」
「………それ以上の気持ちには…なれない…か…」
「………うん…」
お互い俯いたまま…
気づいてみると、すでに5時を過ぎている
「…わかった……ごめんな、今日は変なこと言って…」
「…………」
植木は自分の鞄を持って一人帰ろうとする
「うえき……?」
「悪い………さすがに俺……好きだって気持ち…
…すぐに切り替えることなんて…できねぇ…から…」
「…………!」
「森と友達として…また接するまで……しばらく俺のことはほっといてくれて
いいからな…」
「……え」
「………じゃあな」
「あ!う、植木!!」
森の静止の言葉を無視して植木は走ってその場を後にした
追いかけようと思ったが、足が言うことを聞かない
「…………ッ」
森はそのまましばらく動こうとしなかった
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『戸惑』
それからしばらく経って
森との間になんとなく距離ができてしまって…あの日以来、あまり喋っていない
やはり、ふられても友達でいるなんて、難しい
「………はぁ……友達、か……」
友達でいたい、と言った森の言葉が思い出される
公園のベンチに座り、沈みかけようとしている太陽を少し悲しげな目をしながら
ぼんやりと眺めていた
「…………フラれたっての…俺って……案外未練がましいな…」
フッと一人微笑みながら、そろそろ帰ろうかと思い立ち上がろうとした
その時
「…………あの…植木君…」
「………ん?」
誰もいないと思っていた植木は、驚いて声がした方を見る
そこには火野国中学の制服を着た女子が一人顔を赤くしながら立っていた
「えっと……だれだ?」
「あ、私はB組の…佐藤っていいます…」
ペコッと頭下げる
「んで、俺になんかようか?」
「えっと…その……あの…/////」
「ん?」
「私、植木君のこと……ずっと前から……好きでした!」
「…………」
「あの……だから……その…」
俺、失恋したばっかなんだけどな…
そう植木は心の中で呟きながらベンチから腰を上げ佐藤と向き合う
「悪いけど……俺は…「わかってます」
「え?」
なにがだ?そう思った植木だが
「植木君に好きな人がいるってことは知ってます…だけど…実は…あたし……」
「…………?」
そのまま植木は佐藤の話を静かに聞いていた
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「ただいまぁ〜。あい〜お土産買って来たぞ〜!!」
ここは森宅
大黒柱の父親が帰ってきたというのに誰も来ない
「……毎度のことながらおかえりの一言ぐらいあっても……」
そう呟きながら、娘の部屋に向かう
「あい〜……?いるのか、あい?」
そう言ってドアを開けて見ると
あいは自分の机に座って一枚の写真を見ていた
父はそ〜と後ろから見るとそこに写っていたのは…
「お!なんだ、植木君か〜!」
「え!?……あ、なんだ帰ってきてたの?」
気づきもしなかったのか…、と心の中で落ち込みながらも、あいをからかおうとする
「植木君の写真なんか見つめちゃって、そんなに気になるのかい、植木君のこと?」
「な…////か、勝手に決めるな!!」
少し赤く顔を染めながら怒鳴る
「それに……植木とはただの……」
友達……なんだよね…
「…………?…あ、そういえば帰ってくる途中、植木君を見かけたなぁ…」
「……へぇ…」
……また公園の掃除でもしてたのかな?
そう解釈した森だったが…
「そうそう、隣に女の子がいたなぁ……たぶん、一緒に帰ってたんだと思うけど……」
「………え?」
女の子?
「そ、その子、どんな子?」
「え?えぇ〜と………たしか、あいと同じ制服着ていたなぁ…」
同じ制服……ってことは同じ火野国中学?
植木があたし以外の……他の女子と、一緒に……
ズキンッ
なぜだか分からないが、あいの胸が締め付けられるような痛みが走った