あれからまた半月くらい経った

確かにあの日から…告白された以前の関係に戻りつつあって
普通に喋ることぐらいはできるようになっていた

だけど…

一緒にいる時間が……ほとんどなくなってしまった

登校中はよく見かけることはあるけど、彼女といつも一緒で話しかけることができないし、
もちろん放課後も送って行ってるらしい


そんな光景を見るといつも胸が締め付けられるように痛む

この痛みがなんなのか、今の森には検討がつかなかった




「ねぇ、あ〜いちん?」
「ん?なに?」

そんな暗い気分の中、友達のみっちゃんが話しかけてきた

「今度の日曜だけど、暇?」
「え?…うん、まぁ暇…だけど…?」

「よかったら買い物に付き合ってくれないかな?買いたい物があるんだけど…」
「……うん、いいよ!」

「じゃあ、詳細はメールでね?」
「うん、わかった!」

…買い物すれば、気分を変えるにはちょうどいいし

この痛みだって忘れられるかもしれない


そう思って森はなに買おうか?と、友達と喋りながら少しでも
この嫌な気分を振り切ろうとしていた


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「さぁ〜てと…あ!あいちん、少しそこの喫茶店で休憩しない?」
「う、うん…」

そう隣の親友の両手に持たれている紙袋の量を、呆然としながら森は承諾した



「アイスティーを一つ!あいちんは?」
「じゃあ、あたしもそれで…」

かしこまりました、といって離れていく男の店員を、みっちゃんはなんだか
うっとりした目で見ていた

「ねぇあいちん、今の店員さんって、ちょっとかっこよくなかった?」
「……そうなの?」
「…………はぁ…」

なんだか呆れた目で見られる

「な、なに?」
「………べつに〜〜」
「…………?」


ちょっと疑問に思いながらも、森は外の風景に目をやる


外は道に人が溢れていて、連休だからだろうか、
子供が家族とどこかに出かけるのだろう、手を繋ぎながら歩いている姿

あたしにもあんな時があったんだなぁと思いながらその子供を見ていたのだが、
ふとに違う方に目をやる

それはいかにもカップルのような男女で、お互い顔を真っ赤にしながら
手を繋いで歩いている姿…



「……はぁ〜…」
「………あいちん、アイスティーがきてるのに気づいてる?」
「え?あ、ホントだ…」

気づいたら注文していたものがきていて、よく見ればみっちゃんの方には
いつの間に頼んだのだろうか……パフェまできている……

「……ほんとにみっちゃん、今日はいっぱい買い物したね…」
「そうかな?……まぁ……ついでだからね」
「…ついで?」

他になんか用があったっけ、と森は考える

「じゃあ本題にはろうか、あいちん」
「え?……な、なに?」




「…植木君のこと」
「………え?」

………うえき……



……………ッ!?



「な、なんで植木!!?」
「ちょ、ちょっと、あいちん落ち着いて…(汗)」

突然大きな声を出したため周りの客の目が森に集まる

「あ、ご、ごめん///」
「そんなに慌てるほど気になるの?」
「な!!…んなわけないじゃん………それに言ったでしょ、植木とは
ただの友達……だって…」

「……ホントに?」
「………うん…」

そう言って森は俯きながら黙りこむ

「あいちんってば嘘つけないタイプだね…」
「…………え?」

「自分はそう思っているとしても、本心は違うんじゃないの?」
「……本心?」

「つまり、植木君のこと自分では友達だって思ってても、心のどこかでは
友達以上の関係を求めてるってこと!」

「な////だ、だから、ちがうって…」

「じゃあこのまま植木君、佐藤さんにとられてもいいの?」
「…………とられるって…」



森は俯きしばらく沈黙が続く



「私にもわからないの…」
「………?なにが?」

沈黙を破った森の言葉に友人は首を傾げる

「植木のことが好きなのかどうかなんて……植木に告白された時のも
そう答えて、植木のこと、傷つけたけたみたいだったし……」

「じゃあ、あいちん、今の植木君達見てもなんにも思わないんだね?」
「…………ッ!?」

驚いたようにパッと顔を上げる森

「胸が痛くなったりすることがあるけど…なんで?」

「やっぱり自分に嘘ついてるよ、あいちんは…」
「………え?」


「もしその痛みを消してしまいたいって思うなら、植木君のことをキッパリ忘れてしまうか…
……思ってること……本心を素直に伝えること、ね」

「……本心を伝える…」
「伝えずにそのまま後で悔やんでも仕方ないんだよ?
………後悔…したくないでしょ?」


…本心を伝える……か…


なんだか少し…胸が軽くなったような気がした


「ありがと、みっちゃん。なんか少し楽になった気がする」
「役に立てて光栄です」

と、ぷっとお互い顔をあわせて笑った


そしてしばらくして二人は喫茶店を後にするのだった