「……勝手だな…森は…」


「………なにがよ」


いきなり腕を掴まれ、その上抱きしめられた森は、状況が掴めないまま目には涙を溜め
植木に言葉をかける

「……ホントに勝手だよ、森は…」

強く抱きしめられているので植木の顔が見えない森は必死に離れようとする
抱きしめられたことは嬉しくないと言えばうそになるが、さすがに公園のど真ん中で…
というのには恥ずかしい


「ちょっと////!!まずは離れてよ!////」

「………いやだ」


抵抗する森だが、力づくで止められては成す術がないのでじっとする

そのまま二人は無言で黙ったままそのままでいた



「……俺もな、あいつと一緒にいる時も、森のことばかり考えていたんだ…」
「………え?」

突然喋りだし戸惑う森を尻目に話を続ける植木


「……いつになればまた森と普通に喋れるようになるんだろうとか、一緒に弁当食ったり
掃除したりできるんだろうってずっと考えてた…」

「……………!!」

「……で、考え付いたのが普通の友達に戻ろうってことだった…
…正直自分でも辛かったけど、な…」

「……………」

「だけど…それでも変わらなかった……いや、変われなかった、だな
 友達だって言っても、やっぱ本心は森のこと諦めきれなかったんだと思う」


……え?

…諦めきれなかった?



「う、うえき、それって……」





「…だから俺はまだ森のことが好きだってこと、だよ」




「…………ッ!!」


今まで感じていた胸を締め付けられるような痛みなんかではなく、
温かい感じで、さらに心臓が物凄い速さで動いてる


「う、そ……」

「うそじゃねぇ……」



「ホントに……?」

「あぁ……」



「……またそばにいてもいいの?」

「…当たり前だろ?」



何度も確認してくる森を見て、植木は少し苦笑しながら、やっと
森を離して前に立つ


「もう一回、言うぞ」



「俺は森のことが好きだ」



「…………!」

夢なんかじゃない、森はそう確信した
そして今度は森の方から植木を抱きしめた


「………ッ!?」


少し戸惑った植木だがよく見ると小刻みに震えている
顔を覗いてみると森の瞳には涙を浮かべている



「も、もり!?や、やっぱり嫌か?無理しなくてもいいんだ……ぞ…?」

「…………」



森は無言で抱きしめる力を強くしたので植木も黙り込んでしまう


「………森?」

「……馬鹿」


そう言って上げた森の目は涙で、顔は恥ずかしいのか真っ赤になっていた


「無理なんかしてないし、嫌でもない!!/////」


真っ赤な顔のまま睨みつけてくる森を見て植木は少し苦笑する


「な、なに笑ってんのよ馬鹿植木ッ!!////」

「べつに……かわいいなと思っただけ」

「………!!////」


さらに恥ずかしいことを言われてこれ以上ないくらい真っ赤になる



「……もう、離さないからな」

そう言って植木も森を強く抱きしめた

「こっちだって離れてやんないから…////」


そうして二人は周りがもう暗くなっていることにも関わらずそのまま抱きしめ合っていた

お互いの存在を確かめ合うように…