「どうしたの鈴子ちゃん?今日なんだか元気ないみたいだけど」
「え!そ、そうですか?!」
鈴子は森と合流し、街の中を歩いていた…のだが、
いつも笑顔のたえない鈴子なのに今日はまったくと言ってもいいほど笑っていない。
それを疑問に思い鈴子に尋ねる。
「なんかあったの?」
「い、いえ別に……たいしたことありませんわ!」
そう笑顔で答える。
「……そう?」
少し疑問に思ったのだがいつもの笑顔に戻ったので安心し、気にしないでおこうと思った。
それから二人は、その鈴子の友達のために日本の和菓子や、いかにも女の子向けなキーホルダーなんかを買ったりした。



「あいちゃん………ちょっといいですか…?」
「え、なに?」
ちょっと休憩しようということで二人は公園のベンチに座っている時、鈴子が話しかけてきた。
「この前、遊園地で観覧車に乗ったとき…好きな人がいるっておっしゃってましたよね」
「え!……う、うん///…なんで?」
「い、いえ!どうなったのかと、思いまして…」
と慌てながら言う。
「…それが……全然…」
「………そうですか…」


二人とも沈黙



「…………佐野…君…」
「……え?」
「あいちゃんは……佐野君のこと・・・どう思っていますか?」
「佐野のこと……?なんで、いきなり…」
「………いえ、その……たいして意味は…無いんですけど………」

「……好きだよ?」
「………!!…そう…ですか……」と俯く鈴子。
「鈴子ちゃんと同じくらいね!……あ、もちろんヒデヨシもね」
「………え?」パッと顔を上げる。

「じゃ、じゃあ、あいちゃんの好きな方って…」
「………………あいつ………植木……///」
「………そ、そうだったんですか」
「でもなんでそんなこと、いきなり聞くの?」
「い、いいえ///何でもありませんわ」と慌てる。
「……そう?ならいいけど」
「…(よかった…)……じゃあ、そろそろ行きましょうか」
「あ、うん!」
そうして二人は公園を後にした。



「…なんでここはいつもゴミがあるんだ?」
植木はこの前ここを掃除したばかりなのにゴミが散らっかっているのを見て少し
腹を立てながら呟く。
「…ったく掃除する身にもなれよな……」
あのあと、植木は駅前に掃除しに行こうと思っていたのだが、たまたまボランティア活動があっていて、それを少し手伝って、ここの公園を掃除しに来たのだった。
「さてと、始めっかな………ん?」
掃除を始めようとしたのだが、近くで聞き慣れた声が聞こえた。
「…それが……全然…」
「………そうですか…」
鈴子に………森?……何してんだ?ここで…
植木はその二人の姿を確認して少し戸惑って声をかけようとした……が、
「あいちゃんは・・・佐野君のこと・・・どう思っていますか?」
「佐野のこと・・・?」
ピタッと足が勝手に止まる。
聞いてはいけない、と思っても体が言うことをきかない。
そんな沈黙の中、森が……。
「……好きだよ」
「…………ッ!」
気がつけば走って息が荒くなっていて、胸が今まで以上に締め付けられるような
痛みを感じていた。
「はぁ、はぁ、はぁ………っ、なんなんだよ・・・なんでこんな・・・」
自分の胸に手を当てて俯きながら考える。
「……………でも………よかったじゃん、両思いなんだし…」
胸が痛い気持ちを誤魔化すように、ふっと笑う。
そしてなにかを決心したように顔を上げる。
「…………よし…」
そう一言呟いてゆっくりと歩きだしその場を後にする植木だった。



「ん〜今日は楽しかったな、久しぶりに買い物して」
ぐーんと背伸びをしながらベッドに倒れこむ。
「……そうだ」
と今日買ってきた買い物袋の中身から何かを取り出す。
それは…銀色のクロスの形とハートの形をしたペンダントだった。
じつはこれは…

「…恋のアイテム?」
「はい、このクロスペンダントを一つ男性の方に、そしてハートの方を女性の方に付けると……その二人は永遠に結ばれる…という話だそうですよ。」
「な…//////………だ、だけど、これちょっと高そうだし…いいよ…」
「いえ、今日は買い物にも付き合ってもらいましたし、お礼ですよ」
「でも……「はい!あいちゃん!」
と森に無理やり渡す鈴子。
「応援してますね!!」
「……ありがとう、鈴子ちゃん」

「せっかく鈴子ちゃんから貰ったんだし…あいつに渡さなくっちゃ!」
とそのペンダントをギュッと握り締める。
「受け取ってくれるかな……あいつ……」
ふと窓の外を見る。
高く澄みわたった秋の夜空で星が輝いている。
明日も晴れるようだ。
「永遠に結ばれる…か……」
部屋の電気を消し眠りについた