茶髪に少し寝癖のある彗のクラスメイト、中原桂(なかはらけい)だった。
 中原は彗を立たせると、彗をグルグル回した。
 そして止めると彗の右手に太い棒を持たせて言った。
「さ、彗。
 スイカどーこだ?」
 次の瞬間、彗は立ち上がって中原の額に棒を叩きつけた。
 そして中原は叩かれた場所を押さえながら彗に訴える。
「ち、違う!
 違うぞ、彗!
 『中原割り』じゃなくて『スイカ割り』!
 『スイカ割り』でごじゃる!」
 その言い方が気に入らなかったのか、彗はまた棒を振り降ろした。
 それに中原は必死に抗議した。
「や、やめるでごじゃるよ!
 か弱きマロをそんなに虐め、やめるごじゃ・・・や、やめてー!」
 中原の必死の叫びも虚しく、彗は棒を振り続けた。
 それを見ていた円花に背の低い青髪の男が声を掛けた。
「おはよう死之神さん」
「あっ、おはようございます。
 波崎さん」
 波崎太一、彗と同じくクラスメイトで、中原の小学校時代からの友達だ。
 太一は彗に叩かれるのをやめてもらい、ぐったりとした中原に近づいた。
「だからやめときなって言ったのに・・・・・・」
 すると中原は太一にすがりついて言った。