二人の一日 その1

「おはようございます。彗さん」
 目が覚めると、彼女の笑顔がすぐ間近にある。
「う、うおっ!?」
 思わず俺は慌てるが、彼女の顔が上にある以上、視線を逸らすことも、慌てて飛び起きるのも出来ない。
 でも、俺は最近気付いたことがある。
 それは…彼女の笑顔を見ると、自然と力が出たり、毎日の生活が楽しくなったことだ。
 それは、きっと俺だけのことだろうが。
 分かることは…俺はこいつにベタボレ中…ってことか。
「とりあえず…どうして、俺の部屋にいるんだ?」
 俺はひとまず自分の思考を急停止させ、円花に問いかける。
 すると、彼女は笑顔で言った。
「…朝ご飯、食べたいです」
 朝飯? …それは、自分で作れ。
 などと考えてもしまうが、さすがにそれは自分は言えない。
 それよりも…今、何時だ? と思い、俺は時計を見る。
「…へ? 10時過ぎ?」
 …なるほど。円花が朝ごはんが食べたいというわけだ。
 これで、分かった。
 円花の言葉の要因は、完全に自分の長時間睡眠が原因であると。
「そうですよ。彗さん、ぐっすりでしたから」
「わ、悪い。今から作る」
 とりあえず、円花を部屋から出して、俺はさっさと着替える。
 何というか、そーいえば…今日は休日だったんだなぁ。
 平日じゃなくて、よかったよ。ははは…
 などと、考えてしまう俺だった。

続く


第二話へ