「いや、なんというか…だな」
 彗は、向かい側の机で同じ夕食を取っている円花に言う。
「…ふぁんでふふぁ?」
 だが、円花は夕食を口に含みながら喋ったためか…彗の耳にはちゃんとした言葉が届かなかった
 …ので、毎度お馴染みのようなことを言う。
「…いや、食べながら喋らなくていいからな」
「ふぁい」
 と、それから何回か口に含んだ食べ物を何回か噛んでから、飲み込んだ円花は改めて彗に話しかけた。
「それで、何ですか? 彗さん」
 少しの間黙っていた彗だったが…意を決したように言う。
「…お前と秋乃はどうして、いつもあんなに険悪な雰囲気になってるんだ?」
 そう、かわいそうなことに、彗はちっともそれが分からなかった。
 哀れなことだが、彗は正直に分からないと言っている。
 険悪…と言っても、険悪なムードを醸し出しているのは秋乃だけなのだが…。
「さ、さぁ。何ででしょうね?」
 最初のうちは、何で自分が秋乃に睨まれるのか分からなかったが…彗を意識するようになってからは、それが自分と同じ理由で彗のことを思っているからだと円花は気付いていた。
 だからと言って、そんな事実をいえるはずもない。
「…仲、悪いのか?」
 彗は続けて問いかける。
 二人がほとんど険悪な雰囲気になっているのだから…仲が悪いと考えるのは当たり前のことだろう。
 だが、やっぱり哀れなのは、彗にはその理由がやはりちっとも分かっていないということだ。
「そんなことはありません!」 
 円花は力説するかのように大きな声で言った。
 確かに秋乃は自分にとってはライバル的存在だが…決して嫌いな人間ではない。
 いや、寧ろ好印象を持っているぐらいだ。
 ただ、彗が関係すると…最大の敵に成りえるだけなのだ。
「そ、そうか。それならいいんだ…」
 ふぅ…と安心するかのように彗は一息ついた。
「…でも、彗さん。どうして、そんなことを聞くんですか?」
 円花がそう問いかけると、彗は三枚のチケットをポケットから取り出した。
「…いや、これをさ、弓に貰って…あいつは『秋乃ちゃん、円花ちゃんと一緒に行ってきなよ』って言ってたんだが…、仲が悪かったら困るだろ。色々と…」
 確かに彗の言うとおりだ。
 仲が悪い同士の2人が遊園地に行ったとしても、楽しめるわけがない。
 …それは当然、本人たちもだし、一緒についてきた人たちもそう感じることになるだろう。
 しかし、円花は特に迷う様子もなく…
「いいですよ?」
 と答えた。
「いいのか? …それじゃあ、今度の土曜日だからな。んじゃ、秋乃にも今度伝えとく」
「はい。お願いします」
 と、答えたところで二人は再び夕食に手を付け始めた。
(彗さんの隣は、私が…)
 …そう、円花の願いを乗せて。

続く?


 …初めてスタンプデッド小説を描いてみました。
 …ど、どうでしょうかねぇ? 不安だ。滅茶苦茶不安だ…。
 …スタンプデッドが分かる人は分かるかもしれませんが…色々と凄い人ぞろいなのです。この作品は。
 …で、予定ではこの作品…続く予定です。あくまでも予定ですが…。
 …んでは、今日はこの辺で

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